川本 卓史(かわもと たかし)

社会起業家支援担当
京都ソーシャル・アントレプレナー・ネットワーク(KSEN)会長

「営利と非営利は交差する」

昨年(2011年)4月には植木さんを代表理事とする京都ソーシャルビジネス・ネットワーク(KSBN)が設立され、私も参加しました。共著『小さな企業のソーシャルビジネス』(文理閣)を出版したり、「町家塾」の運営を手伝ったり、多少はお役に立てたかなと思っています。
東北大震災の復興は言うまでもなく、貧困家庭児の就学、高齢者福祉、働く母親の子育て、障がい者の就労などなど、いま私たちの周りには様々な困難な課題があります。
それらに対して民間企業の知恵と汗を生かして、利益を生むビジネスを通して取り組み、改善を図っていくというのがソーシャルビジネスです。私としては、引き続きこういう取り組みを支援し啓蒙するKSBNの活動に参加し、同時に、㈱カスタネットがソーシャルビジネスのモデル企業になることを応援していきたいと考えています。
自分の働く企業が利益だけでなく困難な社会的課題の解決に貢献し、「良い社会」づくりに寄与しているという意識は、何物にもまして企業の経営者や従業員のモチベーションやイノベーションの力を高めるでしょう。そして営利と非営利とが交差し、協働していくのがこれからのビジネスと社会のあり方になると信じています。
(『小さな企業のCSR報告書』より)

略歴

昭和14年1月 東京都生まれ
37年3月 東京大学法学部卒業
4月 旧東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行
53年 ニューヨーク支店資金課長、東京銀行信託会社執行副社長(EVP)など歴任
63年 ロンドン支店長、英国東京銀行社長を歴任
平成3年 豪州東京銀行頭取、オセアニア総支配人を歴任
6年 旧東京銀行を退職、関連会社の副社長を経て
10年 京都文教大学へ奉職、学長補佐、学園理事、新学科設立準備室長、人間学部教授など歴任
16年9月 同志社大学大学院アメリカ研究所アメリカ研究専攻博士課程・前期課程修了(修士:アメリカ研究)
22年3月 京都文教大学人間学部現代社会学科教授・学科長を最後に退職

主な著書

「シドニーの囁き」(西田書店)、「臆病な季節」(西田書店)、「なぜアメリカの大学は一流なのか」(丸善)「折々の人間学―京都で考えたこと」(西田書店):宇治市 第19回紫式部市民文化賞受賞、「現代社会学科への誘い」「小さな企業のソーシャルビジネス~京都発ソーシャル行き~」(図書出版 文理閣)植木力との共著